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伸びやかな疾走

田中隼磨

2年前、自分の存在意義を求めて、彼は新天地へ活躍の場を移した。そして今、心身ともに成長した姿で、彼は再び馴れ親しんだこの横浜に戻ってきた。驚異的な運動量とスピードを武器に、右サイドを疾走するフットボーラー、田中隼磨。彼は今日も理想とする自分、そしてドイツのピッチを目指し、疾走する。


伸びやかな疾走 田中隼磨「マリノスユースで育って、このチームの環境にはすごく慣れてたんです。ヴェルディにレンタル移籍しているときに完全移籍の話もありましたけど、なかなか完全移籍っていう風に話が運ばなくて。そういう意味で、どこか頭のなかにマリノスでっていうのがあったんです。まあ、ヴェルディに行った時点ではマリノスに帰るっていう考えはなかったんですけど、やっぱり最終的にはそっちの気持ちのほうが強かったですね」

田中隼磨が横浜に帰ってきた。ユース時代から、02年に東京ヴェルディ1969に期限付き移籍をするまで馴れ親しんだ、この横浜F・マリノスに。フットボーラーとして、ひとりの人間として、ひと回りもふた回りも大きくなった姿で。

「ヴェルディでの時間は、プロになってから今まで、いちばん自分自身が成長したっていう自覚が湧いた2年間でした。Jリーグと五輪代表で結果を残して、ある程度自信もついたと思うし、すごく充実した日々を過ごせたんで。怪我をして、手術もしましたけど、移籍も含めて、いいことも辛いことも、いろんなことが経験できたんで、すごくよかったですね」


もっと攻撃的に
積極的に前へ


横浜F・マリノスは昨シーズン、Jリーグ両ステージ制覇を成し遂げた常勝軍団。言わずもがな、選手の層は厚く、隼磨の仕事場である右サイドには、正確なクロスを誇る佐藤由紀彦、ユーティリティなユ・サンチョルなどが控える。結果を残しているとはいえ、隼磨がピッチに立てるという保証はどこにもない。だが、それだからこそ復帰を望んだと彼は言う。

伸びやかな疾走 田中隼磨「不安はこれっぽっちもなかったし、逆にそういうレベルの高いチームに自分が入って、試合に出れば、必ず自身のレベルアップにもなると思うし。その先のA代表とか、さらに先が見えてくるとも思いましたから。他の選手に負ける気もなかった。そんな気持ちがあったら帰ってきませんよ」

現状に決して満足せず、常に高みを目指す。そんな彼がF・マリノスの一員として挑んだ今季のファーストステージは、Jリーグ史上初の3ステージ連覇という結果となって表れた。攻守にわたり右サイドを疾走した田中隼磨の、チームへの貢献度は計り知れない。

「やっぱり去年王者だったっていうのもあって、みんな自信もついてると思うし、堂々とプレーしてましたね。それに、守備が厚かった。ディフェンスの選手だけじゃなくて、全員に守備の意識が浸透していて、1点取られても『もう取られないぞ』っていう雰囲気があった。でも逆に考えると、守備を意識しすぎて、1点差、2点差のゲームがすごく多かったんで、セカンドは3点目、4点目の意識を持つことを心がけていきたいと思います。自分としても、もっともっと攻撃的に、より積極的に行きたいなっていうのはあります。自分の持ち味を生かしつつ、セカンドはもっと得点、アシストを増やしたいですね。それがチームに貢献することだと思うし、結果を出していきたい」

1日1日を大事にして結果を出したい

驚異的なスタミナと、類稀なるスピードで右サイドを上下する。

「ここじゃなきゃダメっていうこだわりはないですけど、右のハーフなり、サイドバックなり、ボランチなり、複数のポジションをこなせれば監督も選択しやすいと思うし。今は、ずっと右サイドをやってきたし、右サイドに慣れつつあるんで、もっと右サイドを極めていきたいと思います。やっぱりサイドからドリブルでえぐってセンターリングしたり、中に切れ込んでシュートしたり、僕自身すごく魅力を感じてるんで」
 常に完璧を求め、日々の努力を惜しまない彼の目は、当然ながらドイツのピッチを見据えている。

「そこが最終目標ではないし、終わりでもない。でも、ワールドカップは、これからのサッカー人生のなかで必ず通っておきたい通過点でもあります。今はF・マリノスでとにかく結果を出して、1日でも早く代表に呼ばれるように、1日1日、ひとつひとつの練習を大切にしていきたいと思います」


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