今年の夏、世界中を熱狂の渦へと巻き込んだアテネオリンピック。 |
「全勝で金メダル」が使命だと チームみんなが思っていた
最初は日本代表のメンバーに入ること自体にですね、責任の重さというのを感じてましたんで、その上キャプテンをと言われるのは、まあ正直嫌だったですね(笑)。やっぱり責任のあるポジションを任されるというのは、こちらも勇気がいることですから。でも納得して引き受けました」
嘘偽りのない、正直な気持ちだろう。それもそのはずである。日本国民の期待を背負い、アテネ五輪出場を、金メダル獲得を目指す長嶋ジャパンのキャプテン。しかも、初のプロ選手のみでのチーム構成。勝利を義務づけられたチームをまとめ上げなければならないという重責は計り知れない。
アテネ五輪出場を懸けた、昨年のアジア予選。各球団から選りすぐりの選手が集った。とは言え、急造チームである。個々の意識にギャップが生じるのは否めない。
「まあ、あれだけの選手の集まりですから、違う方向に向くということはまずないことですが、チームとして動く決まり事ではないですけど、そういう部分を守ってもらわなきゃいけないところはあるし、いままでの自分のペースというのも尊重してやらなきゃならない。けれども、緊張感が少し足りなかったので、そこは心配しました。予選前の壮行試合に負けたことが結果的には良かったですね。あの後から雰囲気も変わりましたから。格下でも一発勝負だと負けることがあると、みんな肌で感じられた」
アテネ五輪出場が決定した夜の宿舎で、宮本は選手はじめチームスタッフ全員に手紙を書いたという。
「全員がいっしょの飛行機で帰るのであれば、そうはしなかったと思うんですけど、解散がバラバラだったので。次に会うまでには期間が開いてしまいますから、そういう形にしたんですけれども。どうしてもみんなにキャプテンとして感謝の気持ちを伝えたかったんです。
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チームのことを考え、ひとりひとりに細かな心配りができる。だからこそ長嶋監督は宮本をリーダーに指名したのだ。そして、そんな彼の状況に応じた気配りは、アテネ五輪直前の合宿でも発揮されることとなる。
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「試合に入ってしまえば、みんなやることもわかってましたし、『全勝で金』というのが使命だと僕らも思ってましたので。勝てば不平不満は出ないと思うんですが、ただ負けたときというのはいろいろ出てくると思ってたんで、次の試合に向けて気は使いましたね。でも、みんなしっかり切り替えてやってくれたので、そんなに悩むこともありませんでした」
すべての責任を負うという覚悟で まずは自分が態度で示す
そんな喧騒、重圧から放たれ、日常に戻ったいま、あの厳しい闘いが彼に残したものとは何なのだろうか。
「いま思い返すと、あの3週間というのは正直ひとつも楽しくなかったですね(笑)。よく『楽しんで』とか言いますけども、それは責任を持ってないから楽しめるんだと僕は思うんですよ。でも、ああいう日本を背負って闘うという経験、毎日が緊迫した試合というのは、したくてもなかなかできないことですから。そう考えるとすごく貴重な経験だったと思いますし、野球人としてとても幸せな時間でしたね」
そして問う。この経験を通して考える「リーダーシップ」とは。
「そういう評価をいただいてますけど、特にそんな意識はなくてですね、まあ、すべての責任を背負うという覚悟で、みんなの前で先頭に立つという気持ちですね。あとは、言葉じゃ伝わらない部分がありますし、言葉じゃないと伝わらない部分もあります。なので、まず自分が態度で示す。周りに認めてもらえるようになって初めて言葉が通じると思いますし、そこから言葉がすごく重要になってくると思うんです。まずやっぱり態度というか、姿勢というか、そういうものが大事だと思いますね」
ヤクルトは秋季キャンプを終え、来季に向かい着々と始動している。
「今季は五輪でチームを離れるということで、それまで休まずに貢献したいという気持ちから怪我をして、逆に迷惑をかけたんで。来季はフル出場して優勝したいですね」
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